卒会生の大学院生から
S.N
1998年3月東京都渋谷区生まれ。2016年〜2020年早稲田大学法学部。2020年〜2022年早稲田大学法学研究科修士課程。2022年4月早稲田大学法学研究科博士課程入学。専門は憲法。次世代研究者挑戦的研究プログラム(JST)と若手研究者海外挑戦プログラム(日本学術振興会)に採用。世界情勢にもよるが、2022年夏からヨーロッパの大学で客員研究員となる予定。公法研究会校友会では、2021年度・2022年度の幹事。
学部生時代の外国語は、英語とロシア語。公法研究会では、新歓や合宿担当を経て、幹事長を経験。
趣味は、料理・手芸・画像編集といった実用性のあるものから、旅行・スポーツまで、色々やるが、深くハマるものはない。スポーツについては、特に、水泳、アーチェリー、フェンシング、乗馬が好きだが、ウィンタースポーツは苦手。音楽も、幼少期にバイオリンを演奏していたことでクラシック、友人の影響により2010年代の洋楽というように浅く広く聴く。日課は、実家の犬と遊ぶこと。特技は、ヨットの操縦、Shakespeareの一部の原作暗唱、長時間睡眠。
公法研究会のサイトをご覧いただき、ありがとうございます。大学生活は、だいたい4年前後で、これは長いように感じるかもしれませんが、終わってみると、とても、短く感じます。
私の場合、入学したときにやろうと思っていたことは、取り組めはしましたが、一つひとつの達成度を考えると、今でも頭が痛いです。
今考えると、公研の活動を楽しんだこと、なんでも相談に乗ってくれる友人ができたことは、私にとって、他に変えられない価値があります。公研に関連することでは、憲法や行政法の勉強だけでなく、むしろ、勉強そっちのけで、会室ソファーカバーを生地の購入〜縫合までやったり、グループラインでたくさん発言したり、新歓のためにTwitterを動かしたりしました。学部生のときは、公研の活動に真剣に取り組み、その時に身に着けた分析力、行動力などは、今になっても役に立っています。私は、高校まで、意見を自分から言うことすら少なく、決してリーダーになるタイプではなかったのですが、好きなことだからこそ、夢中になれたのだと思いますし、好きなことに取り組んだからこそ身についたことも多かったのだと思います。公研の同期とは、学部時代は、例会で議論したり、授業を一緒に受けたり、合宿でBBQしたりだけではなく、他愛もないラインをしたり、ある本の面白い謝辞について語ったりしました。同期は、今では、辛いときに支えてくれて、嬉しいことは自分のことのように喜び、そして人生の大事な決断についても相談に乗ってくれる親友のような家族のような存在です。こうした人たちの同期になれて本当に幸せです。
公法研究会が、これを読んでくださっている皆様にとって、好きな場の一つになれば、(あるいは、そうでなくとも、皆様にそのような場が見つかれば)とても嬉しいですが、何よりも、皆様の学生生活が充実したものとなりますよう陰ながら応援しております。
卒会生の研究者から
徳永貴志 和光大学経済経営学部教授
1996年に早稲田大学法学部に入学し、3・4年次には水島朝穂ゼミに所属しました。学部卒業後は、一橋大学法学研究科に進学し、そこでフランス憲法の研究を始めました。その後、聖学院大学を経て、現在は和光大学で憲法等の授業を担当しています。これまで2度フランスで在外研究を行う機会に恵まれましたが、2度目の滞在の際には現地で厳しいロックダウンも経験しました。コロナ禍により官公庁や研究者への取材等、当初予定していた調査や研究についてはあまり進めることができませんでしたが、その代わり、法律に基づく厳しい罰則を中心としたフランス型コロナ対策を経験しました。法的根拠が明確とはいえない政府による要請と人々の相互監視に依拠した日本型コロナ対策と対照をなすフランスのやり方にも一長一短あり、自由や権利を確保しつつ公衆衛生対策を充実させることの難しさについて考えさせられました。私の主な研究対象は、日仏の議会制です。共著として、岡田信弘編『議会審議の国際比較――【議会と時間】の諸相』(北海道大学出版会2020年)、横大道聡ほか編『グローバル化のなかで考える憲法』(弘文堂2021年)等、共訳書として、ドミニク・ルソー(山元一監訳)『憲法とラディカルな民主主義』(日本評論社2021年)等があります。
早稲田の数ある法律系サークルのなかでなぜ公研を選んだのか、後輩のみなさんの参考になることはないかと、改めて思い返してみました。往々にして記憶は書き換えられるものなので正確ではないかもしれませんが、一つだけ覚えているのは、社会全体に関わるような「抽象的で大きなこと」について勉強したいと入学当時漠然と考えていて、公研に行き着いたということです(後輩の森口倫弁護士と同じく、公研以外にスポーツ系含めいくつかのサークルにも所属しました)。
同級生には、入学早々司法試験や国家公務員試験などを念頭にサークル選びをしている人たちもたくさんいましたが、私はそういった自分の近い将来のことには少し距離を置いて、法律分野のなかでも自分には直接関係がなさそうに思えた憲法を学べる公研に惹かれました。もっとも、憲法が「自分とは関係のない」「抽象的で大きなこと」というのは誤解だったことに後になって気づくことになります。
私の入学した頃は、旧1号館の地下に法律系を中心としてサークルの会室がひしめき合っていて、得体の知れないものが雑然と無造作に積まれた狭い通路の一番奥に公研の会室はありました。当時の公研の雰囲気はとてもほんわかとしていて、どんな人でも受け入れますよ、という感じでした。実際、個性豊かな人たちがいたように思います。現役会員の話を聞くとそれは今もそれほど変わっていないようです。
いつの時代も何かしら重要な社会問題はありますが、それを人々が憲法の問題として意識するのは、社会や国家が危機に陥っているからなのかもしれません。そういう意味で、今は、私が学生だった頃に比べて、学生のみなさんが憲法のことを大なり小なり考えざるをえない時代にあるようにも感じます。そんな面倒な時代に学生生活を送るのであれば、せめて公研のようなほんわかとした場で仲間と語り合って過ごすのも悪くないと思います。ぜひ一度、公研の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。
卒会生の実務家から

(学部3年時の合宿の写真。後列右端が筆者)
森口倫
1998年法学部入学。2002年法学部卒。3・4年ゼミは水島朝穂ゼミ。サークルは公法研究会、早大政友会、律ゾリステンに所属。2002年司法試験合格、2004年10月弁護士登録(第一東京弁護士会)。
弁護士登録以降現在まで、中規模の企業法務系法律事務所である桃尾・松尾・難波法律事務所に所属。途中、金融庁市場課(2009年~2010年)での任期付公務員、ロンドン大学(King’s College)への留学(LLM, 2014年)の経験あり。取扱業務は企業法務全般だが、最近比較的多いのは、上場会社のコーポレート・ガバナンスや開示に関する相談、不正調査、独占禁止法の談合カルテル事件や相談案件、ベンチャー・個人事業主の相談案件。最近、訴訟事件は少ないが結構好き。若いころは、刑事事件も取り扱ったが、現在、刑事事件・離婚事件は知人の弁護士を紹介する方針にしている。
趣味は、出生以来、一貫してインドア派。読書(主として歴史系)、酒(ウイスキー、日本酒、クラフトビール)、音楽鑑賞(主としてクラシック。律ゾリステンではバイオリンを弾いていた。)、将棋(観る将、アマ2級)、インデックス投資など。家族は、妻とネコ1匹。
新入生の皆様、ご入学本当におめでとうございます。早稲田大学は、一定のプレステージがありながらも、非常に懐の広い大学です。自分が何者であるかがわからない人にとっては様々なチャレンジをさせてくれる場所であり、自分が何者であるかがなんとなくわかっている人にも、高いレベルのものが与えられる場所だと思います。早稲田が第一志望だった人も、T大に落ちて早稲田にきた人も、受験偏差値は所詮一つの座標軸でしかなく、人生の座標軸は無数に広がっているのですから、自分のリソースを養い価値観を形成する場として、人生の仲間を獲得する場として、早稲田大学を大いに利用できることを祈っています。
さて、上記の自己紹介に記載したように、私は公研を含めてサークル3つに所属していました。早稲田に入学した際には、ある先輩から、「サークルは15個回って、半年で5個に絞れ」といわれた思い出があります。実際には、10個回って、3個に絞るのがやっとでした。コロナ禍では様々な制約があるとは思いますが、求めなければ与えられないのが早稲田であり、世の中のルールでもあります。優等生気質に由来するリミットを外して、いろんな場所に行き、人に会ってみることをお勧めします。もちろん居心地の悪さに耐えなければならなかったり、ノリが合わずに不快な人に会ったりすることも多いと思います。それはそれで自分を知る手掛かりになりますし、疲れたら休めばよいのです。
公研を含む憲法を学ぶようなグループは、実定法が苦手な人が多いこともあって(!)、多様な学生(つまり変人)が集まっているという意味では居心地の良い空間が形成されやすいのではないかと思っています。学部試験対策を含め、公研をホームベースにして広く深い早稲田の杜に分け入っていくのは、お勧めですよ!
公法研究会会長から

《会長プロフィール》
水島朝穂(みずしま あさほ) 早稲田大学法学学術院教授
1953年、東京都府中市生まれ。札幌学院大、広島大の助教授を経て、96年より現職。憲法、法政策論。博士(法学)。憲法理論研究会代表(2010~2012年)、全国憲法研究会代表(2013~2015年)。衆・参両院の参考人。NHKラジオ第1放送「新聞を読んで」レギュラー14年(2011年3 月番組終了)。単著『平和の憲法政策論』日本評論社、『現代軍事法制の研究』同、『18 歳からはじめる憲法』法律文化社、『ライブ講義 徹底分析! 集団的自衛権』岩波書店、『戦争とたたかう―憲法学者・久田栄正のルソン戦体験』同、『武力なき平和―日本国憲法の構想力』同、『はじめての憲法教室』集英社新書、『時代を読む』柘植書房新社、『東日本大震災と憲法』早大出版部、『憲法「私」論』小学館、『この国は「国連の戦争」に参加するのか』高文研、『同時代への直言』同ほか。単編著、共編著、共著多数。ホームページhttp://www.asaho.com /を連続更新25年。
会 長 挨 拶
公法研究会は、私が生まれた1953年4月に、法学部の学術系サークルとして誕生しました。初代会長は有倉遼吉先生です。その後、浦田賢治先生が会長を務め、1996年に着任した私がこれまで会長を務めています。「社会科学としての法律学」というのがトレンドとなった時代背景があり、憲法をより広い視野から学び、考えたいという学生たちが集まりました。公研の例会や合宿は、経済学や国家論の勉強をけっこうやっていました。アカデミックな研究をしているという自負があったように思います。
私は1972年4月に法学部に入学すると同時に入会しました。沖縄返還直前の騒然としたキャンパスの、旧1号館地下にあった会室で、夜遅くまで議論が続きました。当時のレジュメはガリ版刷りや「青焼きコピー」(検索してみてください)で作りました。すべてが手書き、手作りの時代で、レジュメを見れば誰の字であるか、すぐにわかりました。
いまの学生たちは、インターネットで検索して、内外の文献や情報を瞬時に収集することができます。とても便利になりました。でも、あまりに簡易に入手できると、安易にそれを使うことができるので、「資料批判」が甘くなりやすい。わかった気持ちになってしまうという落とし穴もあります。また、SNSでいろいろな世界とつながった気持ちになってしまう。でも、現実の世界、現実の社会関係、人間関係はもっと複雑で、一筋縄ではいかない。だから、ちょっと立ち止まって、じっくり調べ、じっくり論ずることも必要ではないでしょうか。結論を急ぎすぎないことが大切です。
憲法の世界というのは、どちらかというと結論が見えてしまっているように世の中の人は感じています。でも、憲法ができるまで、どれだけの議論が重ねられたか。その前提として、どれだけの失敗や後悔、犠牲があったか。憲法の向こう側の世界に想像の翼を広げ、さまざまな角度から思考をめぐらせることが、大学4年間には必要です。社会に出れば、効率生、能率性、採算性の波に飲み込まれます。大学時代だけは、そうしたものと無縁の時間を楽しみませんか。公法研究会にはそれがあります。皆さんの参加を希望します。